2018年公開の「万引き家族」は、カンヌ映画祭の最高賞である「パルム・ドール賞」を21年ぶりに受賞した日本映画です。本作は、虐待、不登校、貧困、年金不正受給など、多くの社会問題が含まれ、日本の「家族制度」や、日本人の「価値観」を問う、重いテーマの映画といえます。しかし、映画の中でじっさいに描かれる景色は、日常感あふれる静かなシーンがほとんどです。
今回は映画の舞台となった関東の埼玉/東京/千葉のロケ地と観光スポット、美味しいものを紹介していきます。
あらすじ
柴田家は5人家族。治と妻の信代、息子の祥太、祖母初枝、妻の妹の亜紀だ。治と信代の夫婦は働き、初枝の年金も生活費に使い、それでも足りないときは治と祥太が万引きで食材などを調達していた。
ある日、治と祥太は近所の団地の廊下で、寒さに震えている少女を見つける。2人は少女を家に連れ帰り、新しい名前をつけ、6人目の家族として迎え入れる。その家族と接していくうちに、少女は徐々に打ち解けていき、6人は本当の家族のように楽しい日々を過ごす。
しかし、ある事件をきっかけに家族はバラバラになり、それぞれが抱える秘密や思いが明らかとなっていく…。
主な出演者
監督:是枝裕和
出演:
リリー・フランキー(柴田治)
安藤サクラ(柴田信代)
城桧吏(柴田祥太)
松岡茉優(柴田亜紀)
樹木希林(柴田初枝)
佐々木みゆ(ゆり/凛)
池松壮亮(4番さん)
柄本明(川戸頼次)
高良健吾(前園巧)
池脇千鶴(宮部希衣)ほか
是枝裕和監督は家族を描くことをテーマに映画を作る監督といえます。育児放棄された子供だけの家族生活を描いた「誰も知らない」、家族の絆を描いた「そして父になる」、そして今回も「万引き家族」で家族を描きました。
家族の中のそれぞれの登場人物の心情もしっかりと描写されており、見終わるころには切ない気持ちにさせられます。「本当の家族とは何か?」というテーマとともに、日本社会の残酷な一面を映し出した作品です。
映画の舞台・ロケ地
映画に登場するロケ地を埼玉、東京、千葉の3ヶ所に分けて紹介します。
埼玉県草加市:新鮮市場 八幡店
映画の冒頭で治と祥太が万引きを行うスーパーとして登場しました。地元では安い食材が手に入るスーパーとして知られているようです。
ちなみに、店内には映画のポスターが貼ってあり、映画のロケ地であることがわかります。
千葉県いすみ市:大原海水浴場
予告でも使われた海のシーンで登場しました。家族そろって海水浴したのがこの場所です。
メイキング映像では、是枝監督自らが海に入って撮影を行っていたことからも、このシーンへのこだわりぶりがわかります。
東京都荒川区:ジョイフル三ノ輪
家族が買い物する際によく訪れる商店街として登場しています。ほのぼのとした日常生活のシーンにマッチする下町の商店街です。
治と祥太が家族に内緒でコロッケを買うシーンに使われた店「肉の富士屋」もこの商店街にあります。ちなみに同店ではコロッケは売っていないそうです。
\家族を描いた是枝監督作品/
周りの観光スポットやツアー
ロケ地となった千葉県と埼玉県の周辺観光スポットをそれぞれ紹介していきます!
千葉県勝浦市:勝浦海中展望塔
勝浦海中公園の中にある展望塔です。海の上にポツンとたたずんでおり、まるで海に浮かぶ要塞のような見た目をしています。
展望塔の下部分の約8メートルが海の中にあり、最下層の海中展望室では海の中の景色を眺めることができます。海を泳ぐ魚の姿が見られ、まるで潜水艦の中にいるかのような気分にさせてくれます。
埼玉県草加市:草加松原遊歩道
この遊歩道はその名の通り、松の木が600本植えられた並木道です。そばを流れる綾瀬川を眺めながら散歩するのに適したスポットとなっています。
草加市は松尾芭蕉の「奥の細道」で旅のスタート地点とされており、この遊歩道にも芭蕉の石碑が建てられています。
現地の食べ物・おみやげ
千葉県いすみ市:大原漁港の朝市
JR大原駅から1.5キロほどの距離にある大原漁港で行われている朝市です。獲れたての新鮮な魚介類が売られており、その場でバーベキューにして味わうこともできます。
(※その時期に採れる海産物になりますので、つねにイセエビがあるとは限りません)
アジフライやかに汁などの料理も屋台で買えるので、新鮮な海鮮料理を堪能したいならぴったりです。
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毎週日曜午前8時から12時の開催となっていましたが、コロナウイルスの影響で日曜不定期開催となっています。事前にホームページで開催日時を確認するのをオススメします。
埼玉県草加市:高瀬煎餅店
草加市といえば、外せないのが草加せんべいです!の中でもオススメなのが「高瀬煎餅店」です。
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特徴的なのは炭火で焼き上げた「炭火手焼」で、軽い食感で食べやすく、お米の旨味をじっくり感じられます。
そのほかにも、ざらめ、唐辛子入り、ごま入りなどの種類がある「堅焼せんべい」も販売されています。噛み応えのある食感で、ほどよい味付けがされており、素材の味を楽しめます。
交通機関
各スポットへの交通手段としては、JR、私鉄、バスなどの公共交通機関がオススメです。千葉県いすみ市に関しては駅から距離のある海沿いにスポットがあるので、レンタカーなど車で行くと便利です。
まとめ
この作品のスポットとして紹介した場所は、何の変哲もない普通の場所です。それだけに訪れた際には、映画の内容を思い返し、何とも言えない不思議な気持ちにさせられることでしょう。「社会問題は普通の日常にこそ潜んでいる」というメッセージが込められているようで、スポットを訪れることで普段とは違った視点が得られるかもしれません。
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