007シリーズ最新作「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」はボンドシリーズ第25作目にして、ダニエル・クレイグ演じるボンド15年間の集大成となる作品。新型コロナの世界的流行により何度も延期をされましたが、ついに2021年に公開されました。
007シリーズの見どころのひとつは、世界各国を舞台にしたロケ地。映画を見る人々がボンドと一緒に世界中の観光地巡りができるよう、ロケーションマネージャーと呼ばれるロケ地選びのスペシャリストが世界中を旅して見つけてくるのだそうです。今回は「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」のロケ地を訪ねます!
あらすじ
MI6のスパイを退役し、ジャマイカで静かに暮らしていたジェームズ・ボンド。ある日、旧友フィリックス・ライターに助けを求められ、マドレーヌとともに訪れたイタリアの地で襲撃される。これをきっかけに、ボンドは再びスパイの世界へと舞い戻ることになる。
主な出演者
監督:キャリー・ジョージ・フクナガ
出演:
ダニエル・クレイグ(ジェームズ・ボンド)
レア・セドゥ(マドレーヌ・スワン)
ラミ・マレック(「能面の男」リューツィファー・サフィン)
ラシャーナ・リンチ(ノーミ)
レイフ・ファインズ(MI6部長「M」ギャレス・マロリー)
ベン・ウィショー(MI6の兵器開発課長「Q」)
今作でボンドを卒業すると宣言したダニエル・クレイグ。2021年9月にはイギリス海軍の名誉中佐に任命されました。今でこそ人気が定着したクレイグ版のボンドですが、初期作品では「あの金髪はボンドのイメージにあわない」と、かなり中傷をされたとか。
監督のキャリー・ジョージ・フクナガはその名前が示す通り、日系人の家系。作中に「能面」などが登場するのはその影響かもしれません。本作ではダイバーシティを意識してか、女性がボンド後継者となったのも、世界を驚かせました。
ロケ地
最新作「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」のロケ地は、南欧イタリアから始まり、MI6の本部があるイギリスのロンドン、北欧ノルウェイとヨーロッパ中を駆け巡ります。さっそくチェックしていきましょう。
世界遺産登録の街「マテーラ」
マテーラは映画序盤のロケ地となった世界遺産の街。イタリア南部バジリカータ州に位置し、石器時代の洞窟住居「サッシ」が建ち並ぶ、風光明媚な街です。高台から眺めた景色は有名で、南イタリアでも人気の観光地の一つとなっています。
サンタゴスティーノ修道院の高台
冒頭のバカンスシーンに登場した街を見下ろす景色は「サンタゴスティーノ修道院」のテラスからの眺めです。
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この修道院は坂道の途中にあり、ほどよい高さから洞窟住居群と街を見渡すことができます。海外の旅行雑誌にも載っている有名スポットです。
ボンド滞在ホテル「ジョヴァンニ・パスコリ広場」展望台
バカンスで訪れたボンドとマドレーヌが滞在した魅力的なホテルは、実は映画用のセットで、架空のホテル。ジョヴァンニ・パスコリ広場の展望台下の崖に足場を組んで作られましたが、既に撤去されてしまいました。
このジョヴァンニ・パスコリ広場展望台は、視界の開けた絶景スポットとして有名です。展望台にはベンチがあるので、腰を下ろしゆっくりと目の前の絶景をたのしみましょう。石器時代の洞窟住居サッシ地区を見下ろすことができます。
マテーラの隣町、モンテスカリオーゾという街に「ジョヴァンニ・パスコリ通り」という、似た名前の通りがありますが、まったく関係のない裏通りです。地図アプリで日本語検索すると、こちらが表示されることもあるようなので気を付けましょう!
ちなみにジョヴァンニ・パスコリは19世紀末から大戦前にかけて生きた、イタリアの近代の詩人です。日本人でいうと小村壽太郎(近代日本外交の父)と同時代に生きた人です。
マテーラ大聖堂
マテーラ大聖堂はバイクで逃げ回るボンドが逃げ込む教会のロケ地です。マテーラ大聖堂はサッシ地区の一番高い場所にそびえる教会で、守護聖人ブルーナの聖母が安置されています。
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外観は13世紀に建立された当時のロマネスク様式ですが、教会内部は19世紀まで改装を繰り返したため、建築様式も雰囲気も内と外とでまったく異なるのが特徴です。
礼拝堂には石で出来た「プレゼーピオ」があり、キリスト降誕の物語を表現しています。一見の価値ありです。
ヴィットリオ・ヴェネト広場
ヴィットリオ・ヴェネト広場は、ボンドとマドレーヌが過激なカーチェイスと銃撃戦を行ったロケ地。この美しい広場周辺には観光客向けのレストランも多く、昼時になるとテラス席や広場に広げられたテントでくつろぐ人々が見られます。
周囲には世界遺産を含む史跡もあり、歴史を感じながら食事することができます。石畳が美しいヴェネト広場での美味しい食事、素晴らしい思い出となりそうですね。
サンピエトロ・カヴェオーソ広場
ボンドがアストンマーチンに乗って、敵と銃撃戦を繰り広げるシーンは、サンピエトロ・カヴェオーソ広場で撮影されました。
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サンピエトロ・カヴェオーソ広場には、崖っぷちに建つ「カヴェオーソ教会」があり、この教会前の広場にも、洞窟住居サッシの街並みが綺麗に見える絶景スポットがあります。
水道橋の街「グラヴィーナ・イン・プーリア」
ボンドが敵から逃れるためにロープ片手にダイブする水道橋は、この映画の見どころのひとつです。この水道橋はマテーラの隣町、グラヴィーナ・イン・プーリアに実在し、高さ37mもあります。
集落と橋の向こう側にある教会を繋ぐための連絡橋でしたが、18世紀の大地震で崩落し、その後は水道橋として修復されました。この街のシンボル的存在です。現在はイタリア環境団体が保護する文化財にも指定されています。マテーラからグラヴィーナ・イン・プーリアまでは30分程度のドライブです。
ロンドン中心地「ハマースミス橋」
MI6の内部は、ほぼスタジオにて撮影していますが、ボンドがMと外で会って話をするシーンのロケ地は、ロンドンの中心地から少し離れたハマースミス橋前です。
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ハマースミス橋はテムズ川にかかるロンドンで最古の吊り橋です。観光名所にもなっている緑色の美しい橋です。この近辺には、19世紀のイギリスで活躍した「モダンデザインの父」と呼ばれる、ウイリアム・モリスの博物館もあります。
ジェームズ・ボンドシリーズのシーンはロンドン市内で多く撮影されているので、007の聖地巡りも出来そうですね!
マドレーヌの実家 ノルウェイ「ニッテダル」
元恋人マドレーヌの実家は、ノルウェイ郊外の人里離れた森「ニッテダル」の中で撮影されました。日本の能面を被ったラミ・マレックが登場するシーンのロケ地です。
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ニッテダルは山奥とは言え、思いのほかアクセスが良く、首都オスロから車や電車で30分ほど。冬にはオーロラも見られるそうです。
森の中には、ひっそりとした閑静な佇まいのお家が点在しています。映画中に登場するコテージのセットはこの森の湖畔近くに建設され、ボンドの銃撃シーンが撮影されました。家の前にある大きな湖は冬には氷結します。
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スコットランド「ケアンゴームズ」
スコットランドのハイランド地方にある「ケアンゴームズ」はイタリア「マテーラ」に続いて派手なカーチェイスと逃走劇が撮影されたロケ地です。雄大な山岳を背景にして、ボンドが壮絶なカーチェイス対決を繰り広げます。
ケアンゴームズは、世界の訪れたい場所トップ20に選ばれたほどの名勝。イギリス国内でも最大級の敷地面積を誇る国立公園で、公園内にはイギリス最高峰の山々が5つあり、古代の自生樹林や壮大な滝、野生生物が多数生息する広大な森が広がっています。
断崖絶壁の島 デンマーク「フェロー諸島」
ラミ・マレック演じた邪悪な悪党サフィンの隠れ家は、デンマークのフェロー諸島で外観が撮影されました。断崖絶壁がアジトの外観に使用されましたが、現地にセットは組まれず、CGによって仕上げられています。
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フェロー諸島でもっとも人口が密集しているストレイモイ島。芝屋根の伝統家屋が多く、おとぎ話にも登場しそうな外観です。
断崖絶壁の島々があるフェロー諸島へは、パリなどヨーロッパの各都市から飛行機が出ていますが、ゆっくりとした船旅が好きならフェリーがおすすめです。
周辺の観光地、グルメなど
ここではマテーラの市街地から、ロケ地としては登場しなかったものの、魅力的な観光地をご紹介していきます。
マテーラ「サッシ地区」
ボンドとマドレーヌがバカンスで訪れた旧市街は、グラヴィ―ナ渓谷の岩肌を削って造られた「サッシ」と呼ばれる洞窟住居が建ち並び、その数は約4000とも言われています。
マテーラの「サッシ地区」は人気観光地として、現在たくさんのレストランがしのぎを削っています。古代からの洞窟住居を利用したホテルやレストランもあります。
おすすめレストラン①オステリア・ラルコ(Osteria L'Arco)
サッシ地区でもっとも有名なレストランのひとつ。手ごろな価格で気の利いたサービス、楽しい雰囲気で美味しい食事が提供されます。
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おすすめレストラン②オイ・マリ(Oi Marì)
雰囲気満点の店内ではスピーディにおいしいイタリア料理が提供されます。歴史的な外観と清潔な店内、フレンドリーなサービスで人気のお店です。
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おすすめレストラン③サンビアジオ・リストランテ(San Biagio Ristorante)
立地、雰囲気、料理すべてが素晴らしいと評判のレストラン。人気があるので予約がおすすめです。素晴らしい景色が見える窓際のテーブルは2席、いつも争奪戦ですから予約時に確認を…!
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マテーラの夜
マテーラの風景は、夜になると驚くほどに印象が変わります。オレンジ色のやわらかい灯りに照らされた夜景は昼間とは打ってかわり、とてもロマンチックです。
バサリーノ地区を望む 「ヴィットリオ・ヴェネト広場」からの夜景と、南側のサッシ地区をのぞむ「ジョヴァンニ・パスコリ広場」にある展望台からの夜景はイチオシです!
地下水道「パロンバロ・ルンゴ」
パロンバロ・ルンゴ(Palombaro lungo=長時間潜水の意味)はマテーラの中心街にある地下水道。大人3ユーロ、最長で15分間見学ができます。平日は午前中、週末は(イタリアらしく長いお昼休みをはさんで)午前と午後の受け入れとなっています。
詳細はホームページをご覧ください。入場予約はウェブサイトからできますが、現在はコロナ対策のため、ガイド付きツアーは休止。再開時期は要確認です。
貯水槽は16世紀に湧水を貯めるために造られ、乾季に公共の噴水が水不足になると貴重な水源として利用されました。総容量は合計500万リットルもあるそうです。古い地下水道をめぐるのは意外とスリリングな体験で、人気アクティビティです。
まとめ
この記事ではイタリアの人気観光地、マテーラを中心にご紹介しました。まだまだ日本では知名度が高くない土地ですが、ローマにも負けない歴史ある観光地としてヨーロッパでは人気のある場所です。マテーラはサッシ地区中心に数百のレストランがひしめく、美食の街としても知られます。ぜひ一度訪ねてみてくださいね!
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