1986年に公開された「天空の城ラピュタ」は、スタジオジブリが初めて世界に送り出した長編アニメーション映画です。原作は宮崎駿監督がみずから発案しています。
宮崎駿監督は幼いころに、英国ウェールズ地方やアイルランドを舞台にした空想をめぐらせており、それがラピュタのイメージとなったそうです。ラピュタの舞台、英国のウェールズ地方やオーストラリアのケアンズ、ニュージーランドをめぐりましょう!
あらすじ
「少女が空から降ってきた…」
鉱山で働く少年パズーは仕事に向かう途中、不思議な光が夜空から降りてくるのを目撃する。青い光に包まれて降りてきたのはシータだった。シータは飛行石という青い石を受け継ぐ一族の娘。彼女が身に付けていた青い石も、天空に浮かぶ城「ラピュタ」で作られた飛行石であった。石は持ち主を守り、いつの日にか天空の城ラピュタへ帰る時の道標となる。飛行石をめぐって、軍隊や海賊一家も巻き込んだ冒険物語が始まる…!
スタジオジブリが制作した1本目のアニメーション映画は「風の谷のナウシカ」だと思われがちですが、「ナウシカ」を制作したのは東映傘下のトップクラフトというアニメーション制作会社(トップクラフトはやがて徳間書店の主導のもと、スタジオジブリになります)。このため「天空の城ラピュタ」がスタジオジブリの初制作作品です。
主な出演者
監督:宮崎駿
声優:
田中真弓(パズー)
横沢啓子(シータ)
初井言榮(ドーラ)
寺田農(ムスカ)
常田冨士男(ポムじいさん)
糸博(ダッフィー)
おかみさん(鷲尾真知子)他
天空の城ラピュタを語る上で欠かせない人物といえば、ムスカ大佐。表面上は紳士を装っているものの、ラピュタ復活の為には手段を選ばない冷酷な人物です。「見ろ、人がゴミのようだ!」「目が、目がぁ……」に代表される数々の名セリフがあります。
ムスカの声を担当した俳優の寺田農さんは、声だけを先に録音したため、実際に作品を見たのはずいぶんと後だったそうです。しかし寺田さんの声なくしては、ラピュタがここまで名作とはなり得なかったかもしれませんね。
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映画の舞台・ロケ地
ラピュタのロケ地と噂される舞台は、世界各地に存在します。スタジオジブリの公式サイトには、「ラピュタ制作にはイギリスのウェールズ地方を参考にした」とあります。この他にもオーストラリアのケアンズ、ニュージーランドから、魅力あふれるロケ地情報をお届けします♪
ビッグピット国立炭鉱博物館(南ウェールズ地方/イギリス)
少年パズーの故郷スラッグ渓谷は鉱山の街ですが、最初のころの設定では炭鉱の街となっていました。南ウェールズはイギリスの産業革命時に炭鉱の街として栄えたエリアです。
映画の冒頭で、パズーが空から降りてくるシータを目撃するシーンは、この世界遺産ビッグ・ピット国立石炭博物館の敷地内にある、Big Pit winding towerと呼ばれる鉄塔が参考にされたと言われています。
この鉄塔は、当時炭鉱の中のエレベーターを昇降させる機械として用いられたとか。
ここではアンダーグラウンドツアーと呼ばれる、地下約90メートルに潜って行われる、リアルな地下炭鉱ツアーも体験できます。
カーナーヴォン城(北ウェールズ地方/イギリス)
カーナーヴォン城は、お城というよりは、要塞といったイメージの世界遺産。
シータがムスカに閉じ込められていた要塞のモデルと言われる場所です。お城の内側に入ってみると、至る所にラピュタポイントがあります。
シータが秘密の言葉をつぶやく小部屋、ロボット兵が切断した橋のシーン、シータが逃げ込んだ北の棟のてっぺんなど、まさに見どころ満載です!
チャールズ皇太子が「プリンス・オブ・ウェールズ」の称号を与えられた戴冠式は、このカーナーヴォン城で行われました。Netflixドラマザ・クラウン(The Crown)でもそのシーンは実際のカーナーヴォン城で撮影されています。あわせて視聴すると、発見があっておもしろいかもしれません。
カーテン・フィグ国立公園(ケアンズ/オーストラリア)
カーテン・フィグ国立公園には、カーテンのように見えることから「カーテン・フィグ」と呼ばれる樹齢約500年の大きなイチジクの木があります。ケアンズ中心街から車で約75分です。
他の木に巻きついて大きく成長し、やがてその木を絞め殺してしまうことから、別名「締め殺しのイチジクの木」。ラピュタの中枢にある巨大な飛行石が木の根に囲まれていたシーンを髣髴とさせる大きな木です。
パロネラパーク(ケアンズ/オーストラリア)
パロネラパークはケアンズから南へ約100kmの場所に位置する神秘的な古城。苔むした雰囲気が、滅んだラピュタを髣髴とさせます。
クイーンズランド州の重要文化財で、先ほどのカーテン・フィグ国立公園からさらに車で1時間ほど南下した場所にあります。一時は自然災害よって廃墟になったものの、その景観から、現在は人気の観光地となっています。
ワイトモ鍾乳洞(北島/ニュージーランド)
オーストラリアの隣にある、ニュージーランドのワイトモケーブ鍾乳洞。
世界7不思議に次ぐ「8番目の不思議」と言われるこの巨大な鍾乳洞では、ラピュタに出てくる飛行石の青白い光が体感できます。
徒歩にて鍾乳洞内を観察した後は、ボートに乗り込み、一切明かりのない洞窟内を流れる川に沿って進みます。壁と天井には無数の土ボタルが生息しており、その青白い光は天井一杯にちりばめられ、まるで夜空に浮かぶ無数の星空を見上げているよう。
シータとパズーが、鉱山の洞窟で出会ったポム爺さんから飛行石の秘密を教えてもらい、洞窟の天井を見上げて青白い光に圧倒されていたあのシーンが、ありありと浮かびます。
周りの観光スポットやツアー
グレート・バリア・リーフの玄関口であるケアンズは、年間を通して温かいので季節を問わず海や山でのアクティビティを楽しめます。ロケ地を満喫した後は、ケアンズの豊かな自然を堪能してみてはいかがでしょうか?
国立公園・グリーン島
グリーン島はケアンズから約27km離れた沖合に浮かぶ島で、グレートバリアリーフ海洋公園内にある、もっともアクセスのいい島です。
ケアンズから高速船で約45分で到着し、半日ツアーもありますので、時間に余裕のない人でも参加可能です。
カラフルな熱帯魚やサンゴ礁を観察できるシュノーケリングは、老若男女問わず楽しめるアクティビティーです。運がよければ野生のウミガメと一緒に泳げるかも♪
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キュランダ高原列車・スカイレール
ケアンズの北西に位置する小さな村キュランダは、世界最古の熱帯雨林が存在します。ここはクイーンズランドの湿潤熱帯地域として、世界遺産に登録をされています。
そんな熱帯雨林へ気軽にアクセスできるのがキュランダ鉄道で、ケアンズとキュランダ間を約1時間45分で結びます。
この鉄道は「世界の車窓から」でも紹介され、車窓から熱帯雨林の風景が堪能できます。
ケアンズとキュランダ間は鉄道の他に、スカイレールと呼ばれるケーブルカーもあり、約1時間をかけて高所から熱帯雨林を眺めることができます。往路はスカイレール、復路は鉄道(逆も可)と、両方楽しむことができるのも魅力です。
\ジブリ関連作品/
現地の食べ物・おみやげ
映画のロケ地にちなんだお菓子や、おすすめのレストランなどを紹介します。ウェールズは食文化もロンドンあたりとは少し違いますので、ぜひウェールズ伝統の食事やお菓子を味わってください。
ティ・フント・イル・ボント(ティールーム)
ティ・フント・イル・ボントは、まるで絵本の世界に迷い込んだような、蔦に覆われたとってもかわいらしいティールーム。
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この建物の歴史は14世紀後半にまで遡り、かつては裁判所として使われたこともあったとか。
ウェールズの伝統的なお菓子バラ・ブリス(レーズンなどドライフルーツがたっぷりと入っているパン)や、焼き立てのスコーンやケーキ、自家製ハムを使ったサンドウィッチなどが楽しめます。
ダンディーズ・レストラン
ダンディーズレストランは、ケアンズに2店舗を構える老舗レストランです。中でも2号店はケアンズ水族館内にオープンし、熱帯魚を観ながらお食事が楽しめるユニークなコンセプトのお店です。生牡蠣は毎日ローカルの漁師さんから届けられるので、とっても新鮮♪
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シーフードと共にお肉料理も充実していて、オーストラリアらしいカンガルーステーキなどもオーダーできます。
交通機関
ウェールズでの交通手段は、地下鉄、路線バス、タクシー等ありますが、運転ができる方にはレンタカーがおすすめです。
ケアンズのキュランダ熱帯雨林、ニュージーランドのワイトモ鍾乳洞、どちらも日本人に人気の観光地です。このため日本語ツアーがたくさんあります。ツアーに参加したほうがコストも安く便利です。
オススメのホテル
天空に浮かぶ城ならぬ、グレートバリアリーフに浮かぶ緑の宝石、グリーンアイランド。
専用バルコニー付の全室スイートタイプのこのホテルでは、ラグジュアリーなトロピカルリゾートが満喫できます。
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宿泊者には、サンセットドリンク、シュノーケルやカヤックのレンタル、グラスボトムボートでサンゴ観賞、魚の餌付けや夜のネイチャーウォークなどが、なんと無料で提供されます。せっかくケアンズまで行くのであれば、時間がある方は日帰りでグリーン島に行くよりも、宿泊が断然おススメです。
まとめ
何度も何度も繰り返し見ても飽きない天空の城ラピュタは、冒険、ロマン、ファンタジー、魅力的な悪役、美しい音楽といったエンターテインメントの要素がぎっしり。2022年秋、愛・地球博記念公園(愛知県長久手市)にオープン予定の「ジブリパーク」では、ロボット兵(実物大)が展示される予定だとか。「ジブリの大倉庫エリア」だそうですから、ぜひ見てみたいですね!そして渡航規制が解除されたら、海外のロケ地へ赴き、あの興奮を直に味わってみてはいかがでしょうか!
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