映画「人間失格 太宰治と3人の女たち」は太宰治のスキャンダラスな人生を描いた映画。蜷川美香ワールド全開の鮮やかな映像は終始、美しく幻想的な世界に私たちを引き込みます。
「恥の多い人生を送ってきました」という冒頭で有名な小説「人間失格」は、太宰治最後の傑作といわれ、太宰はこれを書き上げたのち、愛人と心中して最期を迎えます。この映画の原作ではありませんが、映画のインスピレーションになった小説ということができるでしょう。
映画「人間失格 太宰治と3人の女たち」のロケ地は、東京、神奈川、埼玉、富山、京都と広範囲。今回は映画のロケ地や太宰治ゆかりの地など、盛りだくさんでご紹介していきます!
あらすじ
日本を代表する文豪、太宰治は妻子がいながら、女遊びが激しい色男。最期は愛人と心中した太宰の破天荒な人生を、太宰を愛した3人の女たちの視点から暴いていく。
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主な出演者
監督:蜷川実花
出演:小栗旬(太宰治)
宮沢りえ(津島美知子)
沢尻エリカ(太田静子)
二階堂ふみ(山崎富栄)
成田凌(佐倉潤一)
千葉雄大(太田薫)
瀬戸康史(伊馬春部)
高良健吾(三島由紀夫)
藤原竜也(坂口安吾)ほか
小栗旬演じる太宰治の「ほっておけないダメ男ぶり」が見どころ。女たちを狂わせる太宰のしぐさは、手練手管なのか、本当に天然でドンファンなのか…。「死ぬ気で恋、してみる?」と口説き、熱いキスを交わすなど、憎らしいけど嫌いになれないキャラクターです。
太宰の妻、美知子を演じた宮沢りえの巧みな感情表現にも注目です。旦那を他の女に取られ悔し涙を流し、太宰に翻弄されて怒り、それでも彼の作品を尊敬し支え続ける様子は胸に訴えるものがありました。
二階堂ふみは、太宰と心中する愛人の富栄を演じます。嫉妬や歪んだ愛で狂っていくさまを見事に演じあげ、どんどん彼女の世界に引き込まれていきます。
映画の舞台・ロケ地
「人間失格 太宰治と3人の女たち」は、ロケ地がたくさんあります。関東(東京、神奈川、埼玉)、富山、京都。太宰行きつけのバーや、真っ赤な彼岸花が印象的なあのシーンの撮影地など、盛りだくさん!
東京銀座 Bar ルパン
銀座の「BAR ルパン」は、坂口安吾と酒を酌み交わし、文学について語り合ったシーンのロケ地です。
実際に太宰本人の行きつけであったとされるこのバーは、多くの文豪ファンの聖地巡礼の定番スポットとしても有名です。太宰治や文豪を題材にしたアニメやゲームなどの映像作品の舞台としても知られます。
銀座の知る人ぞ知る、裏通り。歴史を感じさせるドアを、あなたは開ける勇気があるでしょうか…?
昭和レトロの粋な雰囲気が漂う店内からは、どことなく太宰が通い詰めていたころの面影が感じられます。
東京日比谷 日生劇場
日生劇場は、「一緒に堕ちよう。死ぬ気で恋、する?」という名言が出たロケ地です。太宰がオペラを抜け出し、作家志望の静子を口説いた螺旋階段です。
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1963年に開館した日生劇場は、日本を代表する近代建築20選にも選ばれています。
今でも、数多くのオペラやミュージカルなどの公演が行われているので、ちょっぴりリッチな気分で舞台鑑賞をたのしんでみるのも良いでしょう。
埼玉日高市 巾着田曼珠沙華公園
太宰が子どもたちと駆け回った印象的なシーンのロケ地、巾着田曼珠沙華公園(きんちゃくだまんじゅしゃげこうえん)。
赤い彼岸花の花言葉は「情熱」「独立」「諦め」「思うのはあなた一人」…。
燃え上がるように赤い曼殊沙華(彼岸花)が一面に広がる公園は、太宰の恋愛遍歴を描いたこの作品にピッタリのロケ地でしたね。
神奈川葉山町 加地邸
太田静子の別荘のロケ地として使われた加地邸。
加地邸は、帝国ホテルを設計したフランク・ロイド・ライトの愛弟子である遠藤新が手がけた住宅で、国の有形文化財に指定されています。
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余談になりますが、小説ヴィヨンの妻は太田静子の日記をもとに描かれたとされています。主人公「さっちゃん」が物語の冒頭で母と暮らしていた家を想わせる邸宅です。
2021年に宿泊施設としてリニューアルオープンし、滞在することができるようになったとか。映画の雰囲気を味わいながら旅の疲れを癒してみませんか?
富山県富山市 富岩運河環水公園
美しい自然が堪能できる富岩運河環水公園(ふがんうんがかんすいこうえん、通称カナルパーク)。
映画アオハライドの撮影地としても有名です。巡礼がてら、美しい自然を眺めながらゆったり散歩してみるのもおすすめ。
京都市 松竹撮影所
太宰と妻子が暮らす家の撮影が行われた松竹撮影所。日本のハリウッドとも呼ばれる伝統的な撮影スタジオです。個人での一般見学は不可なので、旅行会社の企画した見学ツアーなどを予約しましょう。
NHK朝の連続ドラマ「おちょやん」の鶴亀撮影所のモデルとしても有名です。
京都市 旧嵯峨御所大本山大覚寺
嵯峨天皇の離宮、旧嵯峨御所大本山大覚寺(きゅうさがごしょだいほんざんだいかくじ)もロケ地のひとつ。
大覚寺は1200年あまりの歴史があり、京都を代表する観光名所です。数多くのドラマや時代劇が撮影されていることで有名です。水面に映る離宮はまるで時が止まってしまったかのように美しく、静けさの中で心が現れたような心持ちになります。
松竹撮影所からは徒歩10分。ぜひお参りへ訪れてみてください。
周りの観光スポットやツアー
太宰の足跡を辿れるスポットもたくさんあります。太宰治ゆかりの観光スポットをご紹介します。
青森県五所川原市 太宰治記念館
太宰治記念館「斜陽館」は太宰治が生まれた生家で、青森県五所川原市にあります。国の重要文化財建造物に指定されており、明治期の木造建築物としても貴重な建物。蔵は資料展示室になっており、太宰ゆかりの品が展示されています。
ニヒルで洒脱だった太宰の生い立ちを感じられる、貴重な資料館となっています。
1907年当時、最先端だった和洋折衷の建築様式で、使用されている建築資材も最高級品ばかりです。
東京都三鷹市 禅林寺
太宰治の墓がある禅林寺。太宰本人が禅林寺に墓を置いてほしいと望んだそうです。
四季をとおして素晴らしい庭を見ることができますが、とくに紅葉の名所です。
太宰の誕生日であり、遺体が発見された日でもある6月19日は「桜桃忌」と呼ばれます。毎年全国から多くの太宰ファンが禅林寺を訪れます。
東京都三鷹市 太宰治文学サロン
太宰が通い詰めた酒屋・伊勢元酒店の跡地にある太宰文学サロン。太宰の直筆原稿、小説や雑誌の初版など貴重な資料が展示されています。
定期的に太宰治作品の朗読会も行われているんだとか。太宰治にちなんだ限定グッズを手に入ることができます。旅の土産にいかがですか?
東京都三鷹市 三鷹の此(こ)の小さい家
太宰治の三鷹の家を再現した美術ギャラリー「三鷹の此の小さい家」。
太宰が執筆活動を行っていた書斎を再現したブースでは、太宰になりきって執筆体験をすることもできるそう。
太宰愛用していたものと同型の万年筆が展示されていたり、太宰の持っていたものにそっくりなコートを羽織って文豪気分を味わえたりと、ユニークな展示が楽しめます。
東京都杉並区 玉川上水
太宰治最期の地 玉川上水。
幾度となく自殺未遂を繰り返していた太宰ですが、本当に成功してしまったのがこの玉川上水での富江との心中でした。彼は最期、何を想って逝ったのか。追悼の意も込めて訪れてみてください。
現地の食べ物・おみやげ
太宰治の足跡をたどる旅。せっかくなら、太宰なじみの店でお腹を満たしたい!太宰治が愛した味や太宰が訪れたかどうかで議論が絶えない喫茶店など、太宰治にまつわるお店を紹介していきます♪
東京都国分寺市 若松屋
太宰が愛した鰻屋 若松屋。お店には太宰が店でビールを飲んでいる写真が飾られているそうです。小説メリィクリスマスに初代若松屋店主が登場することでも知られています。
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お笑い芸人で作家の又吉直樹など、今でも多くの著名人が訪れているそう。太宰は小串をあてに日本酒を飲むことが多かったようです。太宰に愛された炭火のウナギを堪能してみませんか?
東京浅草 神谷バー
「酔いの早く発するは、電氣ブランの右に出るものはいない」。太宰作品「人間失格」に登場する神谷バー。
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日本最初のバーで、電氣ブランというお酒が有名。
電気ブランの通な飲み方は、ストレートで一気飲み、チェイサーはビールというもの。これは酔いますね…!ほどほどに楽しみましょう。
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京都市 フランソア喫茶室
フランソア喫茶室は、多くの文豪が通いつめたとされる老舗の喫茶店です。太宰治本人が「本当に通っていたのか?」は、じつは微妙なところ。
ことの真相には怪しいところがありますが、太宰治あこがれの地である京都を訪れた際には、ぜひ立ち寄ってみてください。
フランソア名物のレアチーズケーキは絶品ですが、人気の喫茶店なので行列することもしばしば。隣に併設されたフランソア洋菓子店なら、同じケーキを気軽にテイクアウトも可。
ホテルの部屋で素敵な時間を過ごすのもいいですね。
まとめ
太宰治のスキャンダルな人生を描いた映画人間失格 太宰治と3人の女たち。ストーリーもさることながら、スクリーンに映る1カット1カットの鮮やかさには惚れ惚れしてしまいます。今回は、映画のロケ地・撮影場所や太宰治ゆかりの地から、太宰治の足跡を辿っていきました。
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