1944年6月6日黎明、フランス・コタンタン半島のノルマンディー海岸を警戒していたドイツ軍守備兵は水平線上に突如として現れた艦影に恐怖を覚えたことでしょう。
戦闘艦、補助艦艇まで含めて6.939隻の艦船が約13万人の兵士を上陸させるために大挙フランス・コタンタン半島のノルマンディー海岸に押し寄せた、史上最大の作戦、ノルマンディー上陸が開始されました。
この物語は史上最大の作戦の陰で、フランス国内にパラシュート降下したたった一人の兵士を探すように言われた兵士たちの物語です。
今回は映画「プライベートライアン」と、ライアン一等兵を探すミラー大尉たちが上陸したオマハビーチの観光名所などを紹介したいと思います。
『あらすじ』
ノルマンディー上陸作戦、第2レンジャー大隊C中隊隊長のミラー大尉は、上陸地点のオマハビーチで激しいドイツ軍の抵抗に遭い、多くの犠牲者を出しながらも上陸拠点を確保した。
戦闘報告をしたミラーに上官は陸軍参謀長より「3人の兄を戦争で失った末っ子のジェームズ・ライアン一等兵を探し出し、故郷の母親の元へ帰国させよ」という命令を伝える。広い戦場でたった一人の兵士を探し出すのは不可能に近く、部下たちも命令に従うも、「なぜライアン1人のために8人が命をかけなければならないのか?」と疑問に思う。
犠牲を出しながらもミラーたちはライアン一等兵を見つけ出すが、3人の兄が戦死したことを聞かされても「戦友たちを残して自分だけ帰国することはできない」と言い放ち、残ること決意する。
ライアンを残して引き上げるのか…ここに残ってドイツ軍と戦い、友軍を待つか…ミラーは決断を迫られる。
『主な出演者』
ジョン・H・ミラー大尉 :トム・ハンクス
マイケル・ホーヴァス一等軍曹:トム・サイズモア
リチャード・ライベン一等兵:エドワード・バーンズ
ダニエル・ブーン・ジャクソン二等兵:バリー・ペッパー
スタンリー・メリッシュ二等兵:アダム・ゴールドバーグ
エイドリアン・カパーゾ二等兵:ヴィン・ディーゼル
アーウィン・ウェイド衛生兵:ジョバンニ・リビシ
ティモシー・E・アパム伍長:ジェレミー・デイビス
ジェームズ・フランシス・ライアン一等兵(青年時):マット・デイモン
ジェームズ・フランシス・ライアン一等兵(壮年時):ハリソン・ヤング
フレッド・ハミル大尉:テッド・ダンソン
ウィリアム・ヒル軍曹:ポール・ジアマッティ
ジョージ・マーシャル大将:ハーヴ・プレスネル
スチームボート・ウィリー:ジョーグ・スタドラー
フレッド・ヘンダーソン伍長:マックス・マーティーニ
トインビー:ディラン・ブルーノ
トラスク:イアン・ポーター
ライス:ゲリー・セフトン
ブリッグス中尉:ロルフ・サクソン
ジェームズ・フレデリック・ライアン:ネイサン・フィリオン
デウィンド中尉:リーランド・オーサー
空挺兵オリバー:デヴィッド・ヴェーグ
空挺兵マンデルソン:ライアン・ハースト
空挺兵ジョー:ニック・ブルックス
陸軍省付大尉:デヴィッド・ウォール
陸軍省付大佐:デイル・ダイ
I・W・ブライス大佐:ブライアン・クランストン
マーガレット・ライアン:アマンダ・ボクサー
兵士:アンドリュー・スコット
本作品はフィクションですが、ナイランド兄弟のエピソードが話の元となっています。
フリッツ・ナイランド三等軍曹には、エドワード、プレストン、ロバートの三人の兄がいました。
フリッツはD-DAY初日に、予定の降下地点からかなり離れた内陸地点に降下してしまい、なんとか原隊に復帰したところ、部隊の従軍牧師から3人の兄全員が戦死したと告げられます。
長男のエドワードはビルマで行方不明。
次男のブレストンはD-DAYの翌日に戦死。
三男のロバートはD-DAY初日に戦死。
国防省のソウル・サバイバー・ポリシー(巡洋艦「ジュノー」に勤務していたサリヴァン兄弟が、ジュノー撃沈によって全員死亡、サリヴァン家は絶えてしまったことを受けて制定されたルール)に基づいて前線から本国に送還されることとなりました。
帰国後、彼は終戦までニューヨーク州で憲兵として勤務しています。
映画と違うところはフリッツは原隊に自力で復帰し、母親のナイランド夫人は3人の死亡通知を同時に受け取りますが、未亡人ではありませんでした。
なお、長兄エドワードは日本軍の捕虜になっていたところを英軍に救出され、帰国後に母親との再会を果たしています。
この映画の撮影に際し、トム・ハンクスたち出演者は、元海兵隊大尉のデイル・ダイの協力の下、当時の兵士たちの格好をし、同じ装備で10日間新兵教育と同じ訓練を受けさせられ、演技も緊迫感したものとなりました。
オマハビーチはフランスですが、実際のオマハビーチは歴史的に保護されており、開発もされていたので、上陸作戦の撮影はオマハビーチによく似たアイルランドで行われ、アイルランド陸軍も協力し、エキストラとして250名の兵士を貸し出したそうです。現役の兵士だから統制もよくとれており、大規模な撮影にも関わず、撮影はスムーズに進んだそうです。
『映画の舞台・ロケ地』
ミラー大尉たちが上陸したオマハビーチはノルマンディー上陸作戦最大の激戦地となった場所で、史実では米第1歩兵師団中核とした米軍約35.000人に対し、迎え撃つドイツ軍は東部戦線で激戦を戦い抜いた第352歩兵師団であり、連合軍は2.500名とも4.000名ともいわれる膨大な死傷者を出しながらも内陸へ侵攻しました。
その激戦地のオマハビーチをご紹介します。
オマハビーチ
かつてノルマンディー上陸作戦で多大な死傷者を出し、「ブラッディ(血まみれの)・オマハ」と呼ばれた激戦地の跡とは思えないほどの綺麗な海岸が広がっています。
ビーチでのんびりした後は、カフェやレストランで食事をして、ノルマンディー上陸作戦の戦没者墓地や記念館なども立ち寄るのもいいですね。
ペガサス橋
オマハビーチより南へ車で約60分の位置にあるこの橋はベヌーヴィル橋と呼ばれていました。
プライベートライアンでは出てきませんが、実はノルマンディー上陸作戦の最初の戦闘はここで行われました。
現在は「ペガサス橋」と「ホルサ橋」と呼ばれたいますが、上陸作戦が始まる6時間以上前、イギリス軍ジョン・ハワード少佐率いるグライダー部隊が急襲、戦闘の末に橋を無傷で確保し、数時間後に続く上陸部隊のために死守しました。
その功績を称えてベヌーヴィル橋は「ペガサス橋」、ランヴィル橋は「ホルサ橋」と改名されました。
ペガサス橋は1994年に交通量増加のために架け替えられましたが、歴史的な印象をそのまま残したデザインとなっています。
『周りの観光スポットやツアー』
オマハビーチに限らず、ノルマンディーには戦史館が多数あり、激戦の歴史を伝えています。
ここではオマハビーチから近い観光スポットを2か所紹介します。
オマハ・ビーチ・ビジターセンター
ノルマンディー上陸作戦の様子や、当時の兵士たちの遺品が展示されています。兵士が実際に身に着けていた物を見て、当時の歴史を実感して、取り詳しく知ることができます。
ノルマンディー米軍英霊墓地
劇中に登場します。
ノルマンディー上陸作戦で戦死した連合軍兵士たちの墓地です。
広大な土地に広がる墓地で、きれいに並べられた十字架の間を自由に歩き、亡くなった日付や国籍を見ることができます。
中には残念ながら身元が判明せずに名前の刻んでいない十字架もあり、戦争の悲惨さを感じることができます。
『現地の食べ物・おみやげ』
海岸を眺めながらゆっくりと食事はしたいものです。
口コミで高く評価されているレストランを紹介します。
Restaurant Albatros
Mercure Hotel Omaha Beachに併設されているレストランです。
少し内陸に入りますが、海の景色とゴルフ場を眺めながら食事をすることができます。
風景を眺め、グリーンの端でグラスを飲むのに最適な場所です。ラウンジのほか、テレビでスポーツチャンネルを視聴できる快適なラウンジチェアでゆったりと寛ぐことができます。
公式サイト https://www.hotel-omaha-beach.com/en/restaurant/
Pays Du Bessin
停留されている船の中でシーフードを味わうことができます。
公式サイト https://www.facebook.com/Pays-du-Bessin-Bar-a-Huitres-352085574998856/
交通機関
現在は新型コロナウイルスに伴う航空便の欠航、外務省からの渡航情報も出ていますので、渡航の際には運行情報と渡航情報も確認されることをお勧めします。
羽田、成田、大阪から航空便が出ております。
オマハビーチまでは交通手段が発達していないため、パリから電車とバスを乗り継ぐ必要があります。
サン=ラザール駅からSNCF急行Intercitesでバイユーで下車。
そこからバスに乗り換え、コルヴィル=シュル=メールで下車します。
車が運転できるなら、レンタカーを借りてオマハビーチへ向かう方法もあります。
『オススメのホテル・航空チケット』
『まとめ』
今回は史上最大の作戦の舞台でもあり、ノルマンディー上陸作戦の激戦地、オマハビーチについてご紹介しました。
オマハビーチに限らず、フランス国内には第二次世界大戦にまつわるエピソードとゆかりの地は存在します。
フランスのグルメを食べ歩きながら、歴史を感じる旅をされてみてはいかがでしょうか?
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