かつてヨーロッパには空前絶後の大虐殺、ホロコーストがありました。
ドイツで実権を握ったアドルフ・ヒトラーが1939年9月にポーランドに侵攻、ヨーロッパ大戦がはじまります。
同時に、ヨーロッパ国内のユダヤ人は強制収容所へと送られ、その多くは強制収容所に到着してすぐにガス室に送られて殺される運命をたどりました。
その中で、ユダヤ人を救おうとした人達もいました。
今回は多くのユダヤ人を救うために動いた男、オスカー・シンドラーを描いた作品、「シンドラーのリスト」とそのゆかりの地を紹介したいと思います。
『あらすじ』
1939年9月、ドイツ軍のポーランド侵攻によって第二次世界大戦が勃発する。
ナチス党の党員であるオスカー・シンドラーは、戦争を利用して金儲けを企む。
彼は占領されたポーランドの都市、クラクフの町に着くとつぶれた工場を買い取り、ホーロー容器工場を開設、「安価な労働力」としてクラクフ・ゲットーに強制移住させられたユダヤ人を雇い入れる。ユダヤ人会計士イザック・シュターンにすべてを任せ、自身は持ち前の社交性でSS将校に取り入って事業を拡大させていった。
やがてSS将校のアーモン・ゲートがクラクフ・プワシュフ強制収容所の所長として着任、ゲットーや収容所のユダヤ人を殺戮し始める。
シュターンをはじめ、シンドラーの工場で働くユダヤ人たちにも危機が迫る中、金儲けしか関心がなかったシンドラーの心境に変化が生じ、あるリストの作成を決意する。
第66回アカデミー賞作品賞、監督賞、脚色賞、撮影賞、編集賞、美術賞、作曲賞受賞。
『主な出演者』
オスカー・シンドラー:リーアム・ニーソン
イザック・シュターン:ベン・キングズレー
アーモン・ゲート:レイフ・ファインズ
エミリエ・シンドラー:キャロライン・グッドール
ポルデク・ペファーベルグ:ジョナサン・セガール
ヘレン・ヒルシュ:エンベス・デイヴィッツ
マルセル・ゴルトベルク:マーク・イヴァニール
ユリアン・シェルナー:アンジェイ・セヴェリン
ミラ・ペファーベルグ:アディ・ニトゥザン
カジャ・ドレスナー:ミリー・ファビアン
ダンカ・ドレスナー:アンナ・ミュシャ
メナーシャ・レヴァルトー:エズラ・ダガン
監督を務めたスティーヴン・スピルバーグ自身もユダヤけアメリカ人であり、「血に染まった金は受け取れない」として、監督料の受け取りを拒否しているそうです。
この映画はラストシーンを除けばほぼ前編モノクロです。
これはスティーヴン・スピルバーグ監督の「戦争を記録したフィルムはモノクロだからその方が説得力があるだろう」という考えによるものでありますが、パートカラーが採用され、シンドラーに心理的影響を与える赤いコートの女の子はモノクロの劇中でも鮮やかに描写されています。
また、この作品では手持ちカメラを用いたドキュメンタリー風の撮影方法が多用されているそうです。
『映画の舞台・ロケ地』
映画の舞台はポーランドの都市クラクフで、シンドラーのホーロー工場、クラクフ・ゲットーなどがありました。
ここではその2か所を紹介します。
シンドラーのホーロー工場
劇中でも登場します。
オスカー・シンドラーが経営したホーロー工場です。
現在は改修され、14施設からなる「クラクフ歴史博物館」の1つとして、ナチス占領下のクラクフ市民の暮らしをリアルに伝えています。
電話:12-257-1017
開館時間:10:00〜、閉館時刻は季節や曜日によって異なる
休館日:無休
入館料:大人17zł 子供・学生14zł
交通:カジミエシュ地区から徒歩20分
URL:Muzeum Historyczne Miasta Krakowa
(ポーランド語のサイト。英語あり)
クラクフ<へのアクセス
ワルシャワから1時間(空路)、鉄道なら3〜6時間ほど。
クラクフ・ゲットー跡
ゲットー跡と言っても、当時の様子を伺えるものは多くありません。
この広場は移動させられ、さらに強制収容所に移されるユダヤ人たちの集合場所だったそうです。
追い立てられた人々が手放さざるを得なくなった家具や持ち物が散乱していたのを象徴するオブジェとして、椅子がいくつも配置されています。
『周りの観光スポットやツアー』
クラクフはポーランドでも最も歴史のある都市の一つです。
それだけに観光名所もいろいろですが…今回は2か所だけ紹介します。
聖マリア教会 (クラクフ)
13世紀に建てられたゴシック様式のこの教会は、足を一歩踏み入れると、その壮麗さに目を奪われることでしょう。
聖母マリアの被昇天を描いたレリーフを中心に聖母マリアにまつわる様々な場面が描かれていて、その壮観さに心を奪われます。
電話番号:+48-12-422-05-21
アクセス:クラクフ中央駅より徒歩13分
アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所
第二次世界大戦中、ユダヤ人の絶滅を目的として作られた強制収容所で、1979年、負の遺産として世界遺産に登録されました。
ユダヤ人迫害の歴史を忘れないよう、跡地を博物館として展示しています。
厳密にいえば、アウシュヴィッツ強制収容所が先に作られ、手狭となったため、その後ビルケナウ強制収容所が作られましたが、無料のシャトルバスで両収容所を往復することができます。
住所:Wiezniow Oswiecimia 20, 32-603 Oswiecim
電話番号:+48-33-8448100
アクセス:Oswiecim駅から徒歩20分
住所:Wiezniow Oswiecimia 20, 32-600 Oswiecim
電話番号:+48-33-8448096
アクセス:アウシュビッツから無料のシャトルバスで約5分
日本美術技術博物館“マンガ”館
2か所と言いつつ、3か所目の紹介ですが…
なぜ?ポーランドで漫画?と思わないでください。
ここは日本好きが高じて自らの名前にもマンガと入れてしまったフェリクス・”マンガ”・ヤシェンスキ氏が収集した6.500点にも及ぶ日本文化が展示されています。
その多くが安藤広重や北斎、歌麿、写楽などの浮世絵で、ポーランドの人々に日本の文化を伝えています。
電話番号:+48-12-267-2703
アクセス:クラクフ中央駅より徒歩約20分
『現地の食べ物・おみやげ』
ここではクラクフのグルメを紹介します!
せっかくクラクフまで来たなら、寄ってみたいお店を紹介します!
Gospoda Koko
クラクフ旧市街のやや南側にあって、クラクフでは一番有名なポーランド料理店だと思います。
値段もリーズナブルで、節約して旅行したい人にはうってつけです。メイン料理+シチュー+サラダのセットでも600円以下ない値段、ビールは0.5Lで約150円です。
セットメニューの他単品でも注文できます。
ポーランド料理は1人前の量が多めなので、よほど空腹でたくさん食べるぞ!という心境でない限り、単品で注文された方がよろしいかと思います。
座席は地上と地下にあり、地下ではインターネットに接続できないのでそこが不便かもしれませんが、クラクフ滞在時には一度は行きたいレストランです。
営業時間は午前8時~午前1時までなので、朝昼晩と食事はすべてカバーできます。
カジミエシュ地区にあるザピエカンカ屋さん(複数)
ポーランドには細長いパンの上に肉やチーズ、野菜を載せて食べる「ザピエカンカ」というファーストフードがあります。
ポーランドでは各地で手軽に食べられますが、クラクフではユダヤ人地区のカジミエンシュに、ザピエカンカ屋さんが乱立しています。
市場エリアの広場には有名なザピエカンカ屋さんが集まるので、小腹がすいたら足を延ばしてみてはいかがでしょうか?
『交通機関』
クラククのクラクフ・バリツェ空港まで日本から直行便はありませんので、途中経由する必要があります。
ここでは一路線紹介します。
現在は新型コロナウイルスに伴う航空便の欠航、外務省からの渡航情報も出ていますので、渡航の際には運行情報と渡航情報も確認されることをお勧めします。
成田空港(NRT)~(11時間25分)~ワルシャワ・フレデリック・ショパン空港(WAW)~(55分)~クラクフ・バリツェ空港(KRK)
『オススメのホテル・航空チケット』
『まとめ』
今回はシンドラーのリストの舞台となったポーランド、クラクフを紹介しました。
人類が忘れてはいけない負の歴史を伝えつつも、市内には多数の観光スポットがあります。
かつてこの地にあったクラクフ・プワシュフ強制収容所所長だったアーモン・ゲートには娘がいて、戦後、娘は長年悩んだ末、生き残ったユダヤ人たちに会いました。
最初こそはユダヤ人たちも「あのアーモン・ゲートの娘」として憎んだそうですが、長年の交流で、すっかり娘と打ち解け合い、交流が続いているそうです。
歴史がある街クラクフに訪れた際は、負の歴史だけではなく、素晴らしい街並みとグルメを堪能してください!
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