映画「ニュー・シネマ・パラダイス」は映画にあこがれる少年と映写技師の交流を描いた作品です。田舎町で静かに育まれる少年の心と、それを見守る大人たちを描く本作は、1989年にカンヌ国際映画祭審査員特別賞、アカデミー外国語映画賞をダブル受賞した、名作中の名作です。
今回はニュー・シネマ・パラダイスの舞台となったシチリア島の魅力をご紹介します。
あらすじ
ローマ在住の映画監督サルヴァトーレはある夜、故郷の母親から映写技師アルフレードの訃報を聞かされる。
第二次世界大戦終結から間もない頃、トトと呼ばれていたサルヴァトーレ少年はシチリア島で母親と妹の3人で暮らしていた。父親は出征したきり消息不明で、村の唯一の娯楽は教会を兼用した映画館だった。映画に魅了されたトトは何度も映写室に入り込んでは、映写技師のアルフレードに怒鳴りつけられる。
アルフレードに怒られても、トトは懲りずに映写室に入り込んで、ついには見様見真似で映写機の操作を覚えてしまう。僻地の村で育まれる、映写技師と映画に魅せられた少年の交流を描く。
・1989年、カンヌ国際映画祭審査員特別賞
・1989年、アカデミー外国語映画賞
主な出演者
監督:ジュゼッペ・トルナーレ
出演:
サルヴァトーレ・ディ・ヴィータ(少年期):サルヴァトーレ・カシオ
サルヴァトーレ・ディ・ヴィータ(青年期):マルコ・レオナルディ
サルヴァトーレ・ディ・ヴィータ(中年期):ジャック・ペラン
アルフレード:フィリップ・ノワレ
エレナ(若年期):アニェーゼ・ナーノ
マリア(中年期):アントネラ・アッティーリ
マリア(壮年期):プペラ・マッジオ
神父:レオポルド・トリエステ
スパッカフィーコ(パラダイス座支配人):エンツォ・カナヴェイル
監督のジュゼッペ・トルナーレは実際にシチリア島出身で、この映画は自伝的要素の強い作品です。少年期のトトを演じたサルヴァトーレ・カシオは現在、芸能界を引退し、故郷のシチリア島のパラッツォ・アドリアーノで飲食店兼宿泊施設を経営しているそうです。
映画の舞台・ロケ地
映画の舞台はシチリア島ジャンカルド村ですが、これは架空の村で、撮影はシチリア島パラッツォ・アドリアーノで行われました。今でもこの村を訪れると映画に登場する建物や街並みを見ることができます。
パラッツォ・アドリアーノ
パラッツォ・アドリアーノは映画の舞台となった村です。
ニューシネマパラダイス館にはスタッフ数名が常駐し、申し出ればパラダイス座の客席として使われた教会内部、アルフレードの家(玄関)、トトの家(玄関)などを無償で案内してくれるそうです。
ラスカリ駅 (Stazione di Lascari-Gratteri)
トトとアルフレードの別れのシーンを撮影した駅です。
「人生はお前が見た映画とは違うんだ。人生はもっと厳しいものだ」
そしてアルフレードは田舎を離れてローマへ行けとトトを諭し、この駅で2人は今生の別れをします。そして、アルフレードはトトを抱き締め…
「もうお前とは話さない、お前の噂を聞きたい」
と言って送り出します。遠くに離れていても、活躍するトトの噂を聞きたい、そんなアルフレードの思いがよみがえりそうです。
周りの観光スポットやツアー
パラッツォ・アドリアーノが所在するシチリア島はかつて様々な国に支配されました。
その影響で、常に世界最先端の異文化を吸収し育んできました。そんなシチリア島の魅力を紹介したいと思います。
チェファル
チェファルは、パラッツォ・アドリアーノから車で2時間ほどの町で、海岸でのシーンが撮影された街です。街並みは石畳の路地と密集する石造りの建物で、遺跡群からはティレニア海を見渡せます。
パレルモ
パレルモはシチリア島最大の都市であり、シチリア自治州の州都です。この町は映画「ゴッドファーザー」のロケ地としても有名です。
アラブ文化の影響を色濃く残す、イタリアの中でも珍しい街です。写真はユネスコの世界遺産、モンレアーレ大聖堂です。ノルマン建築と呼ばれる西洋建築と、東方正教建築の影響を受けており、さらにアラブ風の空気も漂います。
東方正教風のきらびやかなモザイク画が良い状態で残っています。
ほかにも、パレルモのマルトラーナ教会はモザイク画で有名だそうです。
現地の食べ物・おみやげ
シチリア島は風景だけではなく、グルメでも見所がいっぱいです。豊富な海産物、シチリアワイン、パスタ料理など挙げればきりがありません。
ビッソビストロ(Bisso Bistrot)
旧市街の中心に位置するビッソビストロは、夕食時には老若男女問わず地元民で満席になるほどの人気店です。古い建物と高い天井を生かしたおしゃれな空間で、地元産のワインやビールをリーズナブルなグラス単位で注文することができます。
フルーティーなビールを片手に、新鮮なシーフードのフリット揚げ物を、シンプルにレモンを丸ごと絞って頂くのはいかがでしょうか?
交通機関
シチリア島のファルコーネ・ボルセリーノ国際空港へは、日本からの直行便はありません(2020年現在)。ローマ、パレルモ、ミュンヘンなどを経由するルートになります。
- アリタリア-イタリア航空(AZ):成田・羽田・関空~(12時間53分)~ローマ~(1時間10分)~パレルモ
- アリタリア-イタリア航空(AZ):成田~(12時間35分)~ミラノ~(1時間35分)~パレルモ
- ルフトハンザ・ドイツ航空(LH):羽田・関空~(11時間52分)~ミュンヘン~(2時間5分)~パレルモ
※所要時間、経由地は航空会社によって違いますので注意してください。
まとめ
今回は「ニュー・シネマ・パラダイス」とその舞台を紹介しました。シチリア島はほかの映画でも撮影地としても知られています。ニュー・シネマ・パラダイスの舞台を歩きながら、イタリア映画のすばらしさ、シチリア島の魅力を堪能してみてはいかがでしょうか?
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